伯父の葬式などが終わってから数日経っても、感覚は鋭いままでした。
数ヶ月前に、僕は念の為にと、
『伯父の死が今年中にある』
と、書いたメモを辞書に挟んでしまっていました。
それを思い出し、その辞書を開くと、やはり、そこには自分で挟んだメモがあり、
更に自分を追い込むことになってしまいました。
『なぜ、分かっていたのなら、伯父の死を止められなかったのか?』
そう考えて、自分を追い込んでいました。
他にも色々な物が、頭の中に勝手に入ってきてグチャグチャになっていました。
自分の頭なのに、自分ではコントロールできない。
僕は混乱していました。
気づけば、コンセントの延長ケーブルで輪を作り、
金属製のポールで、きちんと固定されて外れることのない物干しざおに延長ケーブルを結び
首を吊っていました。
長い間、見たこともない世界を行くこともできない世界を旅したような感覚が終わった後、
僕は、窓の向こうから朝を感じて、自分が生きていることを知りました。
延長ケーブルは、首を通す方も、物干しざおに結んだ方も、結び目はそのままで、
確かに、きちんと物干しざおに吊るして居たはずなのに
延長ケーブルは、知恵の輪のように、物干しざおから床に落ちていました。
金属製の物干し竿は、延長ケーブルを吊るしたところあたりから、くの字に緩く歪んでいましたが、
固定されたままの状態で、はずれた形跡もありませんでした。
ですが、首には延長ケーブルで擦れて血がところどころ滲んだり、皮膚が擦れていたりしました。
ただ、今までとは違い。
頭の中がスッキリしていて、自分で物事を考えられるようになっていました。
↓クリックお願いします。
PR
COMMENT